おうち英語を頑張ってきた親子、帰国子女など、ネイティブの英語を身につけてきたお子さんたち。ネイティブが発する英語独特の発音は、そうそう簡単に身につくことではありません。大切に育て守っていきたい英語力のひとつです。
そして、その多くの親子が心配するのが『カタカナ英語』。
「小学校の英語」「中学英語」など、学校英語授業でカタカナ英語になってしまわないか、と心配している方は多いのではないでしょうか?実際、わたしもその一人でした。
今回は、地方の公立小学校、公立中学校に通った我が子の経験を通して、学校での英語発音についてご紹介します。
おうち英語育ち帰国子女が公立小・中学校へ転校。子どもの発音はどうなった?
我が子は3人共、幼少期をアメリカ現地校で過ごした帰国子女です。現地経験は短かったですが、0歳からおうち英語も始めていたので、英語耳、英語発音には自信がありました。
そして心配したのは、やはり帰国後の学校英語の影響でした。
公立小学校へ転校した帰国子女の場合
小学校英語は、主に歌やチャンツ。CDなどの英語音源を使っているようです。またALTもいつもいらっしゃる環境だったので、自分1人が発言することはほとんどありません。そのため、周りの子どもたちにつられることなく、今までどおりの自分で過ごしていました。
しかし1回だけ、泣いて帰ってきたことがありました。
「ぼくは普通に喋っているのに『何言ってるのか分からないから分かりやすく喋って』と担任の先生に言われた」と。
長男は先生から怒られたと思い込み、とてもショックを受けていました。また「分かりやすく話す」ことができなかったため、結局息子の言葉は誰にも伝わらなかったとのこと。
「担任の先生は、英語専門ではないから仕方ないこと。こんなことがこれからまたあると思うけど気にしないで」と伝えることしか出来ませんでした。
それ以後、このようなことはありませんでしたが「ネイティブ英語のまま話すと伝わらないこともある」ということを学んだようでした。
公立中学校へ転校した帰国子女の場合
長男長女ともに中学2年生で英検1級合格。2次試験の発音点数はふたりとも満点です。そのふたりが公立中学の英語授業をどのように受けているかご紹介します。
わたしは自分自分が中学英語を徹底してやり直し学習したおかげで、文法を完璧にマスターし、アメリカ現地生活もスムーズに出来ました。だから子どもたちには「中学英語を完璧に学べば最強。授業は真面目に聞くように」としつこく伝えていました。
よく守ってくれたため、授業態度も非常によく先生からの評価も高く、授業で困ったことは全くありませんでした。
それは子どもが自分から「ネイティブ英語のまま話すと、聞き取ってくれない」と小学校で学習していたからです。
どう発音すれば、先生や周りの生徒にも聞き取ってもらえる英語発音になるか、子どもなりに悩み研究し、授業を円滑にするため自ら発音を授業中だけ変える、という涙ぐましい努力をしているのです。
先生がこのことに気付いているかどうかは分かりません。しかし子どもが、自分の英語を伝えるために発音を変えて話しているのです。これこそが「コミュニケーション能力」だと思いました。
ALTの先生の前では本来の発音で会話
ALTの先生とスピーキングレッスンやテストがある時は、本来の自分の発音で話します。ALTの先生は、アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、フィリピン人など様々。先生の出産国に合わせることなく、自分の発音で話しているそうです。
長年英語を使っていると、話し方の使い分けまで出来るようになり、英語のおかげで内面も成長させてもらっていると感じます。
学校英語が始まっても子どもの発音に変化なし
「学校英語が始まったらカタカナ英語になってしまうんじゃないか」と非常に心配しました。ましてや子どもが「ネイティブ英語が伝わらない」と泣いていたので、このままカタカナ英語になってしまうんじゃないか、と本当に怯えた時期もありました。
現在、帰国して2年以上経ちましたが、子どもたちの英語発音に全く変化はありません。
週に数時間、英語の授業で発言する時だけ周りに合わせているだけです。
我が子たちは、自宅では毎日今でもおうち英語を継続し、ネイティブの英語を聞き続けていること、自宅ではネイティブ英語を使って話しているので、英会話力と発音をキープしています。
おうち英語から学校英語。様々な英語を受け入れ対応できる子へ
英語耳、英会話力維持のポイントは、学校の英語時間よりも何倍もの量のインプット・アウトプットの積み重ねだと思います。
逆に、帰国以降英語を止める、おうち英語を止めるなど、学校英語の方が長くなると、カタカナ英語につられていってしまうことを心配した方がいいかもしれません。
令和の子供たちは、小さな頃から英語を習っているお子さんが増えたので、以前に比べカタカナ英語は減っています。しかし、日本語の音域や筋肉や舌の使い方などは、英語と全く異なるので、本人が努力してもやはり限界が。「カタカナ英語」にならないための努力の継続は必要です。
例えば、新しい単語や初めてのフレーズなどをカタカナ英語で覚えることが重なると、カタカナ英語に変化していく傾向にあります。
お子さんのネイティブ英語を守りたい方は、おうち英語の継続を頑張ってくださいね。
そもそも、私はカタカナ英語は決して悪い英語ではない、と思っています。英語はそれぞれの地域でそれぞれの形の英語があります。TOEICがアメリカ英語・イギリス英語・インド英語・オーストラリア英語の4種類のリスニングがあるのも、それぞれの地域の英語の理解のためです。
私たち日本人はアメリカ英語を主に学んでいますが、いつの間にか「アメリカ英語が正しい」と思い込まされていることがあります。
色んな形の英語を受け入れて対応できる子に育って欲しいと、私は願っています。